歌舞伎鑑賞教室

6月7日土曜日、歌舞伎鑑賞教室に参加してきました。

前半は、「歌舞伎のみかた」ということで、落合其月役の市川青虎さんに、歌舞伎の約束事や舞台のこと、このあと上演される演目についての解説をしていただきました。歌舞伎の基本的な動作から、物語のキーワードになる「二君にまみえず」という武士の信念まで、幅広いお話にみなさん興味津々。舞台上で雪をどう表現するかの3択クイズに、会場は大いに盛り上がりました。
演目「土屋主税(つちやちから)」の解説では、大高源吾役の中村錦之助さんが、江戸時代の人物の恰好をして登場されましたが、なぜかその手にはスマホが。赤穂浪士47人が加入したLINEグループが大画面に映し出され、大石内蔵助から「討ち入りは12月14日ね!」というメッセージが送られてきました。
この「赤穂浪士」という言葉、あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、赤穂浪士47人による主君のかたき討ち事件を題材にした演目「仮名手本忠臣蔵」は歌舞伎の三代名作の一つにも数えられます。市川青虎さんと中村錦之助さんがスマホを駆使しながら、赤穂事件の概略、そして当日の演目「土屋主税」について説明してくれました。

以下、1年生の感想をご紹介します。

「今まで歌舞伎をまともに見たことがなく、お堅いイメージがあったが、最初の説明や資料などがあったことで内容をよく理解して楽しむことができた。舞台のセットは最初は一番最初から作っているものだと思っていたが、休憩のたびに毎回セットを作り直す音が聞こえてきて驚いた。あの短時間であれほどの完成度のセットを作っていることに職人技を感じた。舞台を見ている時に度々誰がどの役を演じているのか分からなくなることがあったが、後ろからの声がよく聞くと役者さんの屋号を呼んでいる事に気付いて、理解しやすくなった。この声のように客が物語を理解しやすくする工夫がたくさん施されているのがすごいと思った。」

  • 「これまで、歌舞伎に対して敷居が高く難しいイメージがあったけど、前説があったことでここはこういう場面なんだと理解しながら楽しく見れました。また音と動きがリンクしていて迫力があり、惹き込まれました。シーンによって雪の舞う量が変わっていて、物語の緩急も際立っていてすごいと思いました。晋其角の居宅を訪れる大高源吾と落合其月の傘に積もった雪の量が違うように感じて、そこも工夫していたのかなと感じました。会場で渡された作品の解説に、松の木に登って隣家の様子を覗こうとすると書いてあり、どうするのだろうと思ってみていたら、松の木の作りが階段になっていてなるほどと驚きました。全体的に木目の淡い色の中に赤色の花があることで目を惹かれました。其月の傘の色が赤色だったり、後半は着物の色がアクセントになっていたり、色の感覚がきれいだと思いました。」
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  • 「元の話を知らなかったが、前説があったことで「ここが言ってたあのシーンか」と理解することが出来、初めての歌舞伎鑑賞でも楽しむことができた。そのがとても美しく、演じているのが男性ということを忘れそうになるほど指先まで綺麗で、女性と男性の動きとはこうも違うのかと思った。拍子木や太鼓の音で情景が加わり、より迫力があった。紙吹雪に照明が反射し、本物の雪のようにキラキラと舞っていて演出の工夫に驚いた。舞台の高さと目線がほぼ同じだったために、下にあると仰っていた雪を見ることが出来なかったのが少し悔しく思った。其角と源吾の句を送り合うシーンは、日本芸能ならではの静寂による美しさが際立ち、感動した。はじめは内容が理解できるかの不安や初めての歌舞伎への緊張でいっぱいだったが、始まってからは演出や演技によって物語の中へ引き込まれ、楽しんで鑑賞を終えることが出来てとても良い経験だった。」
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  • 歌舞伎鑑賞教室への参加は、日本文化学科1年生の恒例行事となっている課外活動の一つです。今年度はサンパール荒川に行ってきました。
    集合写真では、国立劇場のマスコット「くろごちゃん」たちが一緒に写ってくれました。